遺言書の作成

(1)遺言はなぜ必要か

 遺言の基本的な理念は、相続に伴って発生が見込まれる紛争を予防回避し、円満な相続を実現するものであることが望ましいといえます。

①どんなときに遺言が必要になるのでしょうか

A子供がたくさんいるとき

B先妻の子と後妻がいるとき

C内縁の妻がいるとき

D相続人がたくさんいるとき

E寄付するとき

F事業の継続をするとき

G障がいを持つ子と介護の問題があるとき

②遺言に伴うトラブルを防止する留意点

a、遺留分(後で説明)を侵害しないこと

b、付言事項の活用を検討する:希望事項を記載することがよく行われている。法的拘束力はないものの、相続人や利害関係人に対して道義的感情的な面で影響を及ぼすという点で、少なからぬ意義を有します。

c、予備的遺言(受遺者が遺言車より先に亡くなる場合に備える)、負担付き遺贈(受遺者に一定の範囲の御負担を課す)の活用も検討する。

d、共同遺言は禁止されています。(夫婦相互遺言の場合などは、遺言書は夫婦別々にすること。)

e、遺言はいつでも取り消し又は変更できます。

f、日付の異なる複数の遺言書が存在し、前の遺言の内容が後の遺言の内容と抵触する場合は、後の遺言で前の遺言を撤回したことン位なります。

(2)遺言の方式

 普通方式・・・・・・・・自筆の証書書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言

 緊急の時に作る方式・・・緊急時遺言と隔絶時遺言

(3)自筆証書遺言の作成要領

①あらかじめ財産目録を作成し、遺言者の財産を把握する。

②財産を残したい人を列挙する。

③どの財産をだれに遺すのか、その分け方を決める(その際は二次的な相続関係や、事業・財産運用の長期的展望も配慮することが望ましい)。

④法律で定められた次の方式に従って遺言書を作成する。

a,遺言書本文含む全部を自筆(遺言者自らの手で書く)すること。ただし2019年1月13日からは、財産目録については手書きで書く必要はなくなりました。ワープロでの作成や通帳のコピー(一枚一枚に署名押印が必要)でよいことになりました。

b,遺言書作成の日時を明確に必ず書くこと。

c,氏名を自署し押印すること。認印も可だが実印が望ましい。

⑤遺言書の内容に加除その他の変更が生じた場合には、法律で定められた方式に従って下記の手順で訂正することができるが、全文書き直すことが望ましい。

a,間違えた部分を二重線で消し、そのわきに正確な文字を書く。

b,訂正した箇所に、署名押印に用いたものと同じ印鑑で押印する。

c,遺言書の余白にどの部分をどのように変更したかを附記し、その部分に署名する。

⑥遺言執行者を指定すれば、相続手続きが容易になる。

(自筆証書遺言の長所)

・費用などが掛からない。

・証人や公証人の関与を要せず簡単に作成でき、遺言書の内容を秘密にできる。

(自筆証書遺言の短所)

・家庭裁判所の検認が必要になる

(「検認」について;遺言書の発見者は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく、家庭裁判所に遺言書を提出してその検認を請求しなければならない。提出を怠ったり、封印のある遺言書を家庭裁判所外で勝手に開封すると過量(5万円以下)の制裁を受けることになる。また、家庭裁判所の検認証明書のない自筆証書遺言に基づいて不動産登記を申請しても却下されるなど、各種相続財産名義変更手続きの実務の観点からも、検認は必須の要件となっている。)

・方式不備により、無効となる可能性がある。

・遺言書の紛失・偽造の恐れがある。

(2020年7月10日から自筆証書遺言を作成した方は、法務大臣の指定する法務局に遺言書の保管を申請することができるようになります。)

(4)公正証書遺言

(作成方法)

・遺言者本人が証人二人以上の立会いの下、公証人に遺言の趣旨を口授し、公証人が遺言者の口授を筆記して遺言者及び証人に読み聞かせ、全員がその筆記の正確なことを承認したのち、署名押印する。(事前に行政書士などが、遺言者の方の依頼で公証人と文章の打ち合わせをする場合が多いです。いきなりその場で口授することはまずありません。)

・日付は年月日正確に明記します。

・印鑑は遺言者は実印と印鑑登録証明書が必要で、証人は実印でも認印でも可です。

・必要に応じて戸籍全部事項証明書、不動産登記事項証明書、固定資産税評価証明書などの資料の提出を求められる場合があります。

(公正証書遺言の長所)

・法律上の不備なく作成できる。

・相続発生後家庭裁判所の検認が不要。

・公証人が原本を保管するので、隠匿・偽造の心配がない。

・病気等により公証役場へ行けない場合は、公証人が病院や施設に出張してきて作成できる。

(公正証書遺言の短所)

・費用(公証人手数料+行政書士報酬など)がかかる。

・遺言の存在と内容が公証人と証人に知れるので、秘密にはできない。

(5)秘密証書遺言

(作成方法)

・本人が遺言書を作成し封印し、自分の遺言である旨を二人以上の証人の立会いの下、公証人に申述する。日付は年月日明記する。

・印鑑は遺言書に押印した印で封印する。承認は実印・認印どちらでも可。

(極秘証書遺言書の長所)

・遺言の存在を明確にし、内容は秘密にできる。

・公証されるので、隠匿・偽造の心配がない。パソコンを使っての作成や代筆も可。

(秘密証書遺言書の短所)

・相続発生後家庭裁判所の検認が必要。

・作成手続きが面倒で、公証人手数料がかかる。

(6)遺言執行者

 遺言執行者は相続財産を管理し、財産目録を作成し、その他遺言の実現のために必要な一切の行為をする権利義務を有する。相続人もその執行を妨げることができない。

 遺言執行者は複数いたほうが望ましい(遺言者より先に遺言執行者が死亡する場合もある)。

 未成年者及び破産者は、遺言執行者になることができない。

(7)遺言執行

 遺言の執行は遺言の内容を実現することである。被相続人の死亡後、遺言執行者は遅滞なく相続財産の目録を作成します。遺言執行者がいないとき、又はいなくなったときは、家庭裁判所は利害関係人の請求によってこれを選任することができる。

(8)遺留分

 被相続人は、自己の財産を遺言によって自由に処分できるのが原則ですが、その一方相続人の近親者の相続に対する期待を保護し、生活を保障する必要があります。(例えば、愛人に全財産を残すという遺言を残した場合における妻子の保護)。民法は、相続財産の一定の部分を一定範囲の遺族(兄弟姉妹以外)のために留保した。これが遺留分の制度です。

 兄弟姉妹以外の相続人は、直径相続のみが相続人である場合は、被相続人の財産の三分の一を、それ以外の場合には二分の一を遺留分として主張できます。遺留分の請求権は、相続の開始または遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しない時は、時効により消滅します。相続開始の時から10年を経過した時も同様です。

☆遺留分制度の見直し(2019年7月1日施行)

(1)遺留分を侵害された者は、遺贈や贈与を受けた者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の請求をすることができるようになります。

(2)遺贈や贈与を受けた者が金銭を直ちに準備することができない場合には、裁判所に対し、支払期限の猶予を求めることができます。

【特別の寄与の制度の創設(2019年7月1日施行)】

 相続人以外の被相続人の親族が(いわゆるお嫁さんなど)無償で被相続人の療養看護等を行った場合には、相続人に対して金銭の要求をすることができるようになります。

【配偶者居住権の新設(2020年4月1日施行)】

 配偶者が相続開始時に被相続人所有の建物に居住していた場合に、配偶者は、遺産分割において配偶者居住権を取得することにより、終身又は一定期間、その建物に無償で居住することができるようになります。被相続人が遺贈等によって配偶者に配偶者居住権を取得させることができます。

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