1987年(昭和62年)から、日本音楽著作権協会(JASRAC)は、カラオケ設備を置いているスナックなどから著作権料を徴収し始めました。よくスナックの入り口ドアの外側に、「深夜酒類提供飲食店」のシールと並んで「JASRAC」のシールが貼ってあるのを見かけますが、あれです。

翌年最高裁はお客さんがカラオケを歌うお店から「カラオケテープの再生」の著作権料を徴収できる、又はカラオケ設備を置きお客に歌わせ「雰囲気を醸成し」「営業上の利益を増大させることを意図していた」から著作権料を徴収できる、という判決を下しました。

この判決は、一時は「カラオケ法理」などと称されてよく引用されたようです。しかし、有斐閣の「著作権判例百選」のなどの解説でも、これは著作権法の一定の条文の解釈を示した「法理判決」ではなく「事例判決」であり、類似した事例であっても、著作権料の徴収は具体的事案に応じて判断されるべき、という趣旨の見解が示されていました。

本年10月24日、最高裁は「音楽教室の生徒は著作権料不要、先生からは徴収」という判決を下しました。カラオケスナックやカラオケボックスでもお客様に歌わせて売り上げを上げ、音楽教室もお客様(生徒)に歌わせて売り上げ(授業料)をいただきます。このような類似した事例でも、「事例に応じた判決」が下されたわけです。

音楽教室の生徒からまで著作権料を徴収するのは国民の平均的感情にはそぐわないということであろうかと思います。

2022年(令和4年)11月29日 記